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独りよがりで良いじゃない

Brag crop

先日大学にミニーマウスが描かれたニットを着て行った。19歳だ、来月成人式だ。セーフかアウトかは考えないことにした。幸い友人達からは好評だったし、何より自分が気に入っているのだから構わない。

服自体も気に入っているのだが、手に入れるに至った経緯が思い出深いのだ。

私の妹は高校3年生で、先日無事に推薦で志望校に合格した。推薦とはいえ学力試験もあるため、塾や学校で熱心に勉強していた。塾では数学しか教わっていなかったため、英語を教えるのは専ら私だった。彼女が持ち帰った課題を自宅で添削したり、理解できていない単元の解説をしたりしていた。塾で英語講師のアルバイトをしている私にとってそれらは得意分野であり、勉強に忙しい妹とコミュニケーションを取れる大切な時間でもあった。妹としても、家にいながら塾の授業を受けるようなものであり、しかも講師が身内とくれば幾分気楽に質問できたのではないだろうか。

タイミングが合わない時や急を要する時はLINEで質問が送られてきた。

 


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質問するとき敬語になりがちなのが可愛い。

彼女の志望校は過去問題を公開していたが、模範解答は公開していなかった。そのため、彼女が解いたものの答え合わせは全て私が行っていた。英語も妹も大好きな私にとって、そんなことは全く苦にならないどころか楽しかったのだが、妹も母もすごく感謝してくれていた。

そしてめでたくの合格だ。家族全員とても喜び、合格祝いの買い物にはみんなでアウトレットモールへ行った。もちろんお祝いの主役は妹であり、私は買い物よりもパンケーキやらアイスクリームやらに心を奪われていた。

しかし、妹に付き合って入ったお店で、私は冒頭で述べたあのニットに一目惚れをした。

今年はミッキーマウスのスクリーンデビュー90周年だった。そのため様々なアパレルブランドがディズニーとのコラボ商品を発売していたのだ。その店のコラボ商品も、どれもディズニーらしい人目を引く鮮やかなものばかりだった。中でも私が惚れ込んだのは、前面にリボンで目が隠れたミニーマウスが描かれ、後ろはスピンドルのリボンが施されたワンピース丈のニットだ。

「もうすぐ20歳」だとか、「コートを着たら背中のリボンは見えない」だとか、そういった理性的な声は「可愛い欲しい」という本能100%の声にねじ伏せられた。

レジに向かおうとすると母に呼び止められ、「いかにも好きそうな服選んだね、買うの?」と聞かれた。買うと答えると母は、「今までの授業料ね」と私が持っていた服を先にレジに持って行ってしまった。

ものすごく驚いた。感謝の言葉は何度ももらっていたが、それすら身に余るものだと思っていたのだ。こんな形でお礼をしてもらえるような立派なものではない。そう思い、妹が自分のお祝いの日に私までご褒美を貰うことで気分を害するのではないかと不安にもなった。

だが、彼女の反応は私の予想とは180°異なるものだったのだ。

「授業料ならもっと良いもの買ってもらいなよ」

服を買ってもらえること自体より断然嬉しい言葉だった。今こうして文字にしながらも思い出して頬が緩むほどには幸せだった。

 

これからもあのニットを着るたびに、2人の言葉を思い出し、自分がやってきた勉学やバイトが認められた喜び浸ることだろう。