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独りよがりで良いじゃない

化粧は武装

私は身支度に時間がかかる。

平日であっても、目を覚まして顔を洗い、服を着替え髪をブローし、朝食をとって歯を磨き、化粧をして髪を結ぶなり巻くなり整え、アクセサリー類を身に付け、持ち物を確認して防寒具を身にまとって家を出ると、所要時間はざっと1時間半ほどだ。

休日は気楽かと言うとそうでもない。朝のストレッチをしたり、いつもと違う化粧や凝った髪型に挑戦したりするため、場合によっては平日以上に長い時間を要する。

幸い、私は早起きが苦にならない体質だ。というか、アラームをかけずとも自然と5時半に目が覚める。便利な体質ではあるが、予定があろうが無かろうが5時半に起きてしまうため、しばしば手持ち無沙汰になる。

これに対して私の父親などは、9時に出かけるとなったら8時頃までは寝ている。そして、出かける5分前まではパジャマ姿で歯を磨いている。その頃私は準備万端でスマホを眺めながら、内心彼が間に合うのか心配している。そんな心配をよそに、父は残りの5分で洗顔もブラッシングも着替えも済ませ、時間通りに家を出られる。彼は化粧も髪のアレンジもしないため、当たり前といえば当たり前なのだが、出かける5分前にその状態でいられる心の余裕が羨ましい。

心の余裕は羨ましいが、身支度を整えるという行為自体は好きだ。予定に合わせて服装を考えるのは楽しいし、寝ぼけた顔に化粧を施すことで気合が入る。髪を巻いたり結ったりすると顔の印象が変わって面白いし、アクセサリーを着けると少し強くなったような気分になる。場合によっては数日前からスキンケアに力を入れたり、その予定のために新しい服を買ったりする。そういった準備を通じて、楽しみな気持ちも高まるのだ。

つまり、準備自体も予定の一部なのだ。しかも、予定にへのワクワク感を高めてくれる大切な役割を果たす。5分で支度する父にはこの気持ちは分かるまい。

身支度は他の誰でもない自分のためにするものだ。自分のためにこれほど時間をかけられるのは幸せなことだし、だから毎日楽しいのだ。