withme

独りよがりで良いじゃない

父の迷言

最近の10代女子は、一昔前に比べて父親を毛嫌いしない子が増えているらしい。私もその例外ではなく、大学生になるまでおやすみのハグをしてから寝ていた。

父は優しい。物心ついてから今日に至るまで、両親が喧嘩しているところを見たことがない。家族で買い物や旅行に行く時の運転はもちろん、私や妹はが友人と出かける時の送迎までしてくれる。休日は風呂掃除もしてくれるし、スロットやタバコは私が幼い頃にやめた。そして何より、話していて面白い。我が家で本を読むにのは私と父だけであるため、語彙や雑学ついて語るには父が1番楽しいのだ。

父の言葉は身も蓋もないが的を射たものが多く、話していると視野が広がる。

例えば私が小学校低学年だったある日、テレビで戦争の特集を放送していた。その日の晩、「飛行機の音が聞こえるとミサイルなんじゃないかと不安で眠れない」と怯える私に、「ミサイルだったら音が聞こえた頃には死んでるから大丈夫」と言い放った。父は光は音より速いという正論で私を落ち着かせようとしてくれたのだが、それにしたって10歳にも満たない娘に対してかける言葉だろうか。しかし、それを聞いて「ああそうか、なら不安になる必要はないな」と思ったのだから、私は紛うことなく父の娘だ。