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独りよがりで良いじゃない

As I Like It

有名なイギリス人作家といえば、まず思い浮かぶのは誰だろう。

 

近年であれば、『ハリーポッター』シリーズで世界中を熱狂させたJ・K・Rowlingだろうか。

 

あるいは、少し前にノーベル文学賞を受賞したことにより話題になったカズオ・イシグロ氏かも知れない。

 

しかし、時代にこだわらずに言えば、1番有名なのはWilliam Shakespeareだろう。

 

実際に作品を読んだことがあるかどうかはさておき、「シェイクスピアなんて名前は聞いたことがない」という人はあまり見かけない。

 

蜷川幸雄氏の舞台は大人気であったし、テレビや漫画など、あらゆる場面において『ロミオとジュリエット』は悲劇的恋愛の代名詞のように扱われている。

 

大学で英文学を学んでいる私は、ここ1年ほどそのシェイクスピアに魅了されている。

 

 

いや、現在3年生であるにも関わらず「ここ1年ほど」というのは大いに問題だ。

 

高校時代の私は、得意科目が英語で趣味が読書だという安直な理由で、大学で英文学を学ぶことを決めた。

 

当然、入学後すぐにその素養のなさが露呈した。

ガリバー旅行記は小人の国に行く場面が全てだと思っていたし、フランケンシュタインは怪物の名前だと思っていた。

失楽園』と聞けばミルトンではなく渡辺淳一を思い浮かべた。

アーサー王伝説に至っては、その存在すら知らなかった。

 

シェイクスピアに関しても、小学生の頃に大人ぶって『ロミオとジュリエット』に手を伸ばし、「…?お話じゃないじゃん台本じゃん」とガッカリして以来ご無沙汰していた。

四大悲劇すら答えられない始末だったのだからお粗末なことだ。

 

1年生時のイギリス文学の成績はCだった。

 

(Dで落単)

 

 

 

しかし下手の横好き、もしくは負けず嫌い。

2年生では当初の予定通りイギリスの文化や文学に関する授業を積極的に履修した。

 

知らなければ知れば良いのだと思い、テストに出る部分のスライドだけ写真を取れば済むような授業でもひたすら板書した。

急ぐと殴り書きになってしまい見直す気になれないため、帰宅してから別のノートにまとめ直した。

最近になってその授業の先生に「最初、内職をしているのだと思っていた」と言われかなり焦った。心情最悪かよ。

 

要領の悪い私だが、この努力は実を結んだようで、英文学を扱うゼミに入ることが出来た。

大好きな先生だし、仲の良い友人もいるし、自分にとって最高の環境だ。

 

ゼミに入ったとなれば卒論の話が持ち上がり始める。

前述の通りここ1年ほど、つまり真面目に英文学を勉強し始めてから、シェイクスピアに惚れ込んでいる私は、卒論も彼の作品について書くつもりだ。

些か早計かとも思ったが、もう作品も絞ってあり、訳者の違う3冊を購入した。

 

訳者、と書いたが、私にはシェイクスピアを愛読している上である不安があった。

 

原文で彼の作品を読んだことがないのだ。

 

彼の作品は16~17世紀の英語、つまり中英語で書かれており、我々現代人には馴染みのない綴りや文法が多い。

 

大学で英語学を専攻している人達ならば古英語や中英語の知識がある。

彼らなら読めるのかもしれないと思うと少し悔しいし、羨ましくも思う。

 

だが、ゼミの自己紹介の際に先生から、「現在シェイクスピアを研究している日本人で、彼の作品全てを原文で読んだ人はいないでしょうね。」と言われた。

 

大変驚いたが、同時に安堵した。

 

また、「簡単な英語で書かれたものがありますから、貸してあげますよ」とも言ってくれた。

 

先生ありがとう大好きです。

 

 

張りぼて付け焼き刃一夜城の学生だが、好きこそ物の上手なれを体現できるよう努めたい。