未来の味蕾に期待
大学生になった時、周りにブラックコーヒーを飲めない人が意外と多いことに驚いた。
私は具体的に何歳からだったかは思い出せないものの、中学生の頃にはアイスコーヒーならばブラックのまま飲めていた。
高校生の時、クラスの男子生徒達が罰ゲームで買った缶コーヒーを「こんなん飲めねえよ!!」と叫びながら回し飲みしていた。
それを見て、自分は一歩リードしているような気分になった記憶がある。
今思えば、コーヒーが飲めるくらいで大人になったつもりでいるなど、子供であることの表象に他ならないが。
私が割合早い時期からコーヒーを飲めるようになったのは、父親の影響が大きいだろう。
我が家では、家族で出かける時の運転は専ら父がするのだが、助手席には何故か母親ではなく私が座る。
書きながら理由に思い当たった。多分、二人の娘を後部座席に並べると喧嘩が絶えないからだ。
とにかく、助手席に座ると当然運転手とドリンクホルダーを共有することになる。
父は、もともとの嗜好もあるだろうが、運転する際には眠気覚ましのためにもほぼ100%缶コーヒーを飲む。
好奇心旺盛な小学生だった私は、親がいつも飲んでいるそれに自然と憧れを抱いた。
もちろん、最初の感想は「にっっっが!!!まっっっず!!!」だった。
あと、ちょっと酸っぱい。軽い劇薬かと思った。
こんなものを美味しい美味しいと飲んでいる大人はちょっとどうかしてるんじゃないかとも思った。
それでも少しずつ、カフェオレなら飲める、微糖なら飲める、などと慣れていき、今では好き好んで選ぶようになったのだから面白い。
こんなことを思い出したのは先日、コーヒーが飲めない友人に「甘いから」と言ってカフェモカを勧めたところ、訴訟を起こされんばかりに怒られたからだ。ごめん。
ちなみに、かく言う私もコーヒーは飲めるが炭酸は飲めない。
妹が飲んでいた辛口のジンジャーエールを一口もらった時、ミシン針でも飲まされたのかと思った。
せっかく20歳を迎えお酒が飲めるようになったのに、炭酸がダメでは飲めるものも限られる。
コーヒー同様、少しずつ慣れて楽しめるようになりたい。
5年程かかるが。