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独りよがりで良いじゃない

眼鏡越しの世界

眼鏡が似合わない。

小学5年生の時、妹の「うわっ…」という素直かつ残酷なリアクションと共に眼鏡デビューを果たした。

それ以来、度数が変わる度にオーバル型、スクエア型、ボストン型、ラウンド型などありとあらゆるタイプを試してみた。どれも物の見事に似合わない。ラウンド型をかけた私はどこからどう見ても滝廉太郎だった。

度数が強くなると目が小さく見えることも問題だ。私が眼鏡越しに見る世界は明瞭で美しくなるが、世界が眼鏡越しに見る私の目は地味でみすぼらしくなるなんて、なんという皮肉。

まして高校生の時からカラーコンタクトを愛用している私だ。裸眼になるだけでも恐ろしいのに、そこに更に目を小さく見せる装置を装着するなど、踏んだり蹴ったり、落ち目にに祟り目、泣きっ面に蜂、瘤の上の腫れ物だ。

しかし、残念ながらそんな不幸、つまり度数調整の時期が訪れてしまった。授業でスクリーンに映し出されるスライドの文字が読みにくくなってきたのだ。己の容姿と学業の充実、どちらが大切かなど悩む余地もない。

眼科へ行き処方箋を書いてもらった私は、その足で眼鏡を新調しに行った。しかし、直ぐに手に入る眼鏡とは異なり、コンタクトは使い切るまで新しい度数には変えられない。

そんな訳で本日初めて眼鏡で大学に行った。白状しよう、Amazonで購入した度数の入っていないカラーコンタクトを着用していた。それでもなお、電車の窓に映る自分は5歳は老けて見えた。案の定、眼鏡を指摘してくれる友人は複数人いたものの、賛辞を口にしてくれたのは1人だけだった。その1人は私が何をしても褒めてくれる天使のような友人なので数に入れるのは卑怯な気がする。

ここまでの惨敗を喫したのだ。多少見えずらいことは我慢して、大人しく度数の合わないカラーコンタクトで勉強すれば良い。そうしたいところだが、そうなるとAmazonによってはるばるどこかの倉庫から届けられた度数0のカラーコンタクトが無駄になる。使い捨てとはいえあと8枚、つまり4回分あるのだ。貧乏性の私には、使わず処分することなどできない。

ポジティブに捉えれば、最大あと4回、眼鏡が似合うようになるチャンスがあるという事だ。

しばらく私のスマホの検索履歴は、「眼鏡 メイク」やら「眼鏡 ヘアスタイル」などで埋め尽くされるだろう。